動画って不思議なもので、音楽がついているだけの映像でも、それなりに見れるものです。
でも、どんな動画も観たあと、ちゃんと記憶に残っているか?というとそうではありません。ましてやブランディングのために作る動画なら、見た後でも記憶に残る動画でなければ、作る意味がありません。
さらに、その会社に、良いイメージを残してくれるものでないといけません。
では、どうするばいいのか?それには、見る人に伝わるメッセージが必要です。メッセージを効果的に伝えるために、構成台本をしっかりと作り込まないといけません。
今回は『動画制作の品質を決める7つのチェックポイント|読むだけで役に立つ動画制作ノウハウとは?』の3回目。シナリオについてのお話です。
記憶に残る動画制作に必要なものは?
ここでは、記憶に残るにはどうしたら良いのか?と、シナリオの基本について、お話ししましょう。
どんな動画が記憶に残るのか?
その答えは「感情を動かす」動画であることです。
なんとなく「面白かった」程度では、ダメです。そうではなくて、本当に「面白かった」「楽しかった」「悲しかった」って思わせること。観た人の感情をできるだけ大きく動かす必要があります。
ちょっと変な例えですけど、自分は、英単語とか覚えるのが苦手でした。でもたまに「えっ〜?これってこんな意味だったんだ〜」とか「これって、英語だとこんな単語なんだ〜」とかって、心のなかに引っかかったものは、かならず覚えていました。そのときは「なんで変な言葉だけはちゃんと覚えられるなぁ、自分…」とか思っていましたけど、それにはちゃんと意味があったわけです。
あなたにも似たような記憶があると思います。不思議と覚えているものは、感動したり、びっくりしたりしているものだったりします。
間違いなく、そのとき『感情が動いていた』というわけです。
というわけで、ちゃんと心に根付く動画を作りたいなら、感情を動かす必要がある。と覚えておきましょう。
そして、そのために必要なのが、伝えるための技術。という訳です。
人に伝える構成には、基本がある。
古今東西、昔から、たくさんの先人たちが、他人に伝わる文章術の基本を残してきました。
その基本が「起承転結」とか「序破急」と呼ばれるものです。まぁシナリオを習ったことがあったり、文章を書くのが得意な人はこの先、読まなくても大丈夫。だと思いますが、そうではないあなたは、もうちょっとお付き合いください。
『シナリオ』の基本をわかりやすくお伝えします。
動画のシナリオは、動画を通しての全体構成
よく、映像はキレイなんだけど、全然、心に残らない動画ってありますよね?
一体、何を伝えたかったんだろう…?っていう動画です。
そういった動画には、テーマがありません。なので、感情も動きません。つまり、記憶に残りません。ということは、ブランディングにならない訳です。もちろん「つまらない」っていう感情だけは動くんですけど、それだと記憶からデリート(削除)されるだけになってしまいます。
そうならないために、まずは、その動画のストーリーの軸として『テーマ』を決めましょう。
「愛」「恋」「青春」はテーマじゃない。その理由は?
そこで伝えるべき『テーマ』を考える必要がある訳ですが、あなたはテーマってどんなものか?答えられるでしょうか?
愛だけではテーマにならない理由
よく、動画を作っているアマチュアの方の作品を拝見させていただくことが多いのですが、その作品観た後に「テーマはなんですか?」って質問をすると、「この作品のテーマは『愛』です」とか、答えてしまう人がたくさんいます。
残念ながら、その人は、テーマというものを理解していません。なぜなら『愛』という単語自体ではテーマにならないからです。
じゃあ『愛』ってなんですか?っていう禅問答みたいになってきちゃいますけど、どうしたら『愛』がテーマになるのか?というと、答えは簡単です。
その答えは、方向性があるかないか、です。
愛とは美しいものであるはテーマになる
そう、テーマには方向性が必要なのです。
たとえば『愛とは美しいものである』とか『愛とは醜いものである』とか、◯◯とは◯◯です。という方向性がないと、テーマとして成り立ちません。A=Bでもいいでしょう。
ここではテーマを起承転結で表現するノウハウをお伝えしたいので、仮に『愛とは美しいものである』というテーマを掲げることにします。
起承転結?序破急?すべての始まりはアンチテーゼから
では、このテーマを表現する、最初のスタート地点は、どこに設定して、話を出発したら良いでしょうか?
どこから文章をスタートさせたらいいのか?
最後の最後に『愛とは美しいものである』というテーマにたどり着くという展開が一番わかりやすい、のだとしたら…。
もうわかりますよね?
そうです。一番わかりやすい基本は、全く正反対のところからスタートする。というのが、最初のスタート地点です。
結論から一番遠いところからスタートする
正反対の部分なので「愛とは美しくないものである」とか「愛とはきたないものである」というところから出発するのが、テーマをわかりやすく伝える基本です。
テーマと反対の部分なので『アンチテーゼ』って言います。
『アンチテーゼ』→いろいろあって→『テーマ』を観た人々に納得させる。という展開です。
起承転結の『起』がアンチテーゼ
起承転結の『結』がテーマ
です。
スタートからゴールに、きちんとたどり着く。そのために、途中で『言いたいことが迷子にならないようにする』必要があります。
そこで物語を作る前には、あらかじめ設計図を作っておく必要があります。それがハコ書きです。
物語の設計図、ハコ書きを作ろう
作文を書くのが苦手な人は、十中八九、設計図がありません。
というかテーマもないまま、何と無く書き出して、途中で迷子になりまくり、結局、何が言いたかったかわからない。という状態で終わります。
作詞とか、ほかの分野でも同じですけど、自分が言いたいことを他人にちゃんと伝えるためには『伝えるための技術』というものが、ちゃんと存在します。
作文を書くのが苦手な人は、能力の問題ではなくて、単純にそれを知らないだけ、です。
まずは設計図を作ってみる
さあ、では実際に設計図作りをしてみましょう。
起承転結の『起』がアンチテーゼ
起承転結の『結』がテーゼ=テーマ
と書きましたが、基本は、起承転結を8つに分割します。そして数字のひとつひとつに箱をおきます。
12345678
□□□□□□□□
みたいな感じです。
それぞれの箱の中に、必要な要素を入れて行きます。このストーリーを組み立てる箱を作って、その中に要素を入れていくこの作業を『ハコ書き』というわけです。
1がスタートで、8がゴールです。簡単です。つまり、
最初の1が、『起』がアンチテーゼ。
最後の8が、『結』がテーゼ=テーマ。
です。
そして物語には、クライマックスシーンと呼ばれる、一番大きな見せ場があります。起承転結でいえば、『転』にあたる部分です。
さて、物語のクライマックスは、この8つのハコのどの部分にあたるでしょうか?
正解は、、、
7番です。
そう7番、ひとつだけなんです。
1の『起』から始まって、徐々に物語が進行していき、7の『転』でクライマックスを迎えて、8の『結』で終わる。というのが、物語を作る上では、基本中の基本です。
つまり、2〜6は、ぜ〜んぶ『承』です。
ちょっと意外な感じですよね?
ボリューム的には、『起』『転』『結』が、それぞれ1コマずつで
その間の『承』が、物語のほとんどを占めるわけです。
「愛とはきたないものである」と思っていた主人公が、いろんな経験やエピソードを経て、
「愛とは美しいものである」という結論にたどり着くように、ストーリーを組み立てる
訳です。その途中の数々のエピソードにあたる部分が、物語の大部分を占める5つ分の箱(2〜6)になる『承』の部分です。
動画制作❸【シナリオ編】まとめ
このように、ストーリーが破綻しないように、1から8に向かっていくシナリオの中で、設計図を最初に作りましょう。
どうして「愛とはきたないものである」と思っていた主人公が『愛とは美しいものである』という結論に至ったのか?そのエピソードたちを順序良く、あらかじめ2〜6の中の箱に入れておき、それから筆を走らせるようにすれば、物語が途中で迷子になることは、絶対にありません。
ちょっと見方を変えて、
A=Bです。なぜならCだから。という風に考えてもOK
です。
この場合には、Cにあたる部分が、ハコ書きで説明した2番〜6番です。
ちょっと長くなってしまいましたが、ブランディング動画を作るときに必須となる『ストーリー』の優劣は、動画の成否にも関わってくる大きな問題です。
テーマとそれを説得させる起承転結の展開力で、他社に負けない、あなたの会社だけのブランディング動画を作りましょう。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
コメント
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[…] ●嘘を付かない。取材対象となる人間の人としての魅力を探せるか?●手を抜かない。シナリオ力は必須●あきらめない。長い取材日数を確保して、人間を掘り下げる […]